抜歯矯正と非抜歯矯正:あなたの歯並びに最適な治療法は?|兵庫県姫路市豊富町の歯医者「よつば歯科・小児歯科」

〒679-2124 兵庫県姫路市豊富町甲丘3丁目88
079-264-1758
WEB予約 Instagram
ヘッダー画像

医療コラム

抜歯矯正と非抜歯矯正:あなたの歯並びに最適な治療法は?|兵庫県姫路市豊富町の歯医者「よつば歯科・小児歯科」

姫路市のよつば歯科・小児歯科院長の橋本です!

ブログをご覧いただきありがとうございます。

歯並びを整える「矯正治療」は、見た目の改善だけでなく、噛み合わせの向上や、虫歯・歯周病のリスク軽減にも繋がる重要な治療です。しかし、矯正治療と一言で言っても、そのアプローチは多岐にわたります。特に、治療計画を大きく左右するのが「抜歯」の有無です。

「抜歯矯正」と「非抜歯矯正」。この二つの選択肢は、患者様のお口の状態、骨格、そして最終的なゴールによってどちらが適しているかが大きく異なります。

この記事では、抜歯矯正と非抜歯矯正について、それぞれの適応症メリットデメリットを詳しく解説し、あなたの歯並びに最適な治療法を見つけるための一助となる情報を提供します。

  1. 矯正治療における「抜歯」の必要性とは?

矯正治療における抜歯は、単に歯を減らすという行為ではありません。歯をきれいに並べるための「スペース作り」が主な目的です。歯を並べるスペースが足りない場合、無理に歯を並べようとすると、歯が前に出てしまったり、歯ぐきに負担がかかったりするなど、望ましくない結果を招く可能性があります。

例えば、

  • 叢生(そうせい)がひどい場合(乱ぐい歯): 歯がガタガタに生えていて、歯が重なり合っているような状態。歯が並びきるスペースが圧倒的に不足しています。
  • 出っ歯(上顎前突)が著しい場合: 上の歯が過度に前に出ている状態。上の歯を後ろに下げるスペースを作るために抜歯が必要になることがあります。
  • 口元を引っ込めたい場合: 歯が前に出ていることで口元が突出している場合、抜歯をして歯全体を後ろに下げることで、横顔のプロファイルを改善することができます。

抜歯の必要性は、患者様の歯並び、顎の大きさ、骨格、そして最終的な治療目標を総合的に判断して決定されます。

  1. 非抜歯矯正:歯を抜かずに歯並びを整える

非抜歯矯正は、その名の通り、歯を抜かずに矯正治療を行う方法です。患者様にとって心理的な負担が少ないという大きなメリットがありますが、すべての場合に適用できるわけではありません。

2.1 非抜歯矯正の「適応症」

非抜歯矯正が選択されるのは、主に以下のようなケースです。

  • 軽度から中程度の叢生(乱ぐい歯): 歯のガタつきが比較的軽度で、歯の移動によってスペースを確保できると判断される場合。
  • 顎の成長が見込める小児矯正: 成長期のお子様の場合、顎の成長を促すことで、歯が並ぶスペースを確保できる可能性があります。
  • 歯列の拡大でスペースが確保できる場合: 顎を横方向に少し広げることで、歯が並ぶスペースを作り出すことができる場合。装置を用いて歯列全体を緩やかに拡大します。
  • IPR(歯間空隙形成)でスペースが確保できる場合: 歯の側面をわずかに削り、歯と歯の間に微小な隙間を作ることで、歯を並べるスペースを確保する方法です。
  • 歯の大きさと顎の大きさのバランスが良い場合: 歯の大きさと顎の骨の大きさのバランスが比較的良好で、大きなスペース不足がない場合。
  • 奥歯を後方に移動することでスペースが確保できる場合: 矯正用アンカースクリューなどを用いて、奥歯全体をわずかに後方に移動させることで、前歯を並べるスペースを作る場合があります。

2.2 非抜歯矯正の「メリット」

非抜歯矯正には、患者様にとって多くのメリットがあります。

  • 歯を抜くことへの抵抗感が少ない: 多くの患者様が歯を抜くことに抵抗を感じるため、抜歯を避けることができるのは大きな安心材料となります。精神的な負担が軽減されます。
  • 治療期間が比較的短い場合がある: 抜歯によって生じた大きなスペースを閉じる必要がないため、治療期間が短縮されることがあります。ただし、これは症例によって大きく異なります。
  • 噛み合わせの変化が少ない: 大規模な歯の移動がないため、治療後の噛み合わせのバランスが大きく崩れるリスクが少ないとされています。
  • 治療の選択肢が広がる可能性がある: 抜歯をしないことで、将来的にインプラントなどの補綴治療を検討する際の選択肢を温存できる可能性があります。
  • 後戻りのリスクが比較的低いケースがある: 歯の移動量が少ないため、後戻りのリスクが比較的低いと考えることもできますが、保定期間の重要性は変わりません。

2.3 非抜歯矯正の「デメリット」

一方で、非抜歯矯正には注意すべきデメリットも存在します。

  • 適応症が限られる: 重度の叢生や著しい出っ歯など、大きなスペースが必要な場合には適用できません。無理に非抜歯で治療を進めると、歯が前に出てしまったり、満足のいく結果が得られない可能性があります。
  • 口元が前に出てしまうリスク(口ゴボ): スペースが不足しているにも関わらず無理に歯を並べようとすると、歯全体が前方に押し出され、口元が突出してしまう「口ゴボ」と呼ばれる状態になるリスクがあります。これは審美的に大きな問題となります。
  • 理想的な噛み合わせが得られない可能性: 歯並びが整っても、歯と歯の噛み合わせが理想的な状態にならないことがあります。これにより、将来的な顎関節症のリスクや、食べ物をしっかり噛めないなどの機能的な問題が生じる可能性があります。
  • 奥歯の移動が困難な場合がある: 奥歯を後方に移動させるスペースがない場合、非抜歯での治療が困難になることがあります。
  • IPR(歯間空隙形成)が必要になる場合がある: 非抜歯矯正では、わずかなスペースを確保するためにIPRを行うことがありますが、歯を削ることに抵抗を感じる方もいらっしゃいます。
  • 治療計画の再変更の可能性: 治療を進める中で、当初の計画では非抜歯でいけると考えていたものの、スペース不足が顕著になり、途中で抜歯が必要となるケースもごく稀にあります。
  1. 抜歯矯正:理想的な歯並びと口元を実現する

抜歯矯正は、歯を数本抜くことで、歯を動かすための十分なスペースを確保し、理想的な歯並びと口元を目指す治療法です。特に、重度の不正咬合や、口元の審美的な改善を強く希望される場合に検討されます。

3.1 抜歯矯正の「適応症」

抜歯矯正が選択されるのは、主に以下のようなケースです。

  • 重度の叢生(乱ぐい歯): 歯のガタつきが著しく、非抜歯では歯が並びきらないと判断される場合。特に、犬歯の八重歯が顕著なケースなどが挙げられます。
  • 著しい上顎前突(出っ歯): 上の歯が非常に前に出ており、口元が突出している場合。抜歯によって前歯を大きく後方に移動させ、口元の改善を図ります。
  • 下顎前突(受け口)の一部: 骨格性の受け口の場合、抜歯によって歯を移動させ、噛み合わせの改善を目指すことがあります。ただし、骨格性の問題が強い場合は外科的矯正治療と併用されることもあります。
  • 上下顎前突: 上下の歯がともに前に出ており、口元が突出している状態。抜歯によって上下の歯を後方に移動させ、口元の突出感を解消します。
  • 親知らず以外の小臼歯などの抜歯が必要な場合: 一般的に、矯正治療で抜歯されるのは、前から数えて4番目の歯(第一小臼歯)や5番目の歯(第二小臼歯)がほとんどです。これらの歯は、噛み合わせへの影響が比較的少ないと考えられています。
  • 横顔のプロファイルを改善したい場合: 口元が突出していることで、横顔のバランスが悪いと感じている場合、抜歯によって歯を後退させることで、Eライン(鼻の先から顎の先を結んだ線)を改善し、美しい横顔を実現できます。

3.2 抜歯矯正の「メリット」

抜歯矯正には、非抜歯矯正では得られない多くのメリットがあります。

  • 理想的な歯並びと噛み合わせの実現: 十分なスペースがあるため、すべての歯を正しい位置に並べ、理想的な噛み合わせを実現することができます。これにより、咀嚼機能の向上や顎関節への負担軽減が期待できます。
  • 口元の審美的な改善: 突出した口元を効果的に引っ込めることができるため、横顔のプロファイルが劇的に改善されることがあります。これにより、自信を持って笑顔を見せられるようになります。
  • 後戻りのリスクが低い: 歯を無理なく理想的な位置に動かすことができるため、治療後の後戻りのリスクを比較的低く抑えることができます。
  • 歯磨きがしやすくなる: 歯並びが整うことで、歯ブラシが届きにくい場所がなくなり、プラークコントロールが容易になります。これにより、虫歯や歯周病のリスクを大幅に減らすことができます。
  • 顎関節への負担軽減: 理想的な噛み合わせになることで、顎関節への不必要な負担が軽減され、顎関節症の予防や症状の改善に繋がる可能性があります。
  • 長期的な安定性: 適切に治療された抜歯矯正は、長期的に安定した歯並びと噛み合わせを維持しやすいと言われています。

3.3 抜歯矯正の「デメリット」

抜歯矯正は多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。

  • 歯を抜くことへの心理的な抵抗: やはり、健康な歯を抜くことに対して抵抗を感じる患者様は少なくありません。抜歯の必要性やメリットについて、十分に理解し納得することが重要です。
  • 治療期間が長くなる可能性がある: 抜歯によってできたスペースを閉じるために、歯を大きく移動させる必要があるため、非抜歯矯正よりも治療期間が長くなる傾向があります。
  • 抜歯による痛みや腫れ: 抜歯自体は局所麻酔下で行われるため痛みはありませんが、術後に痛みや腫れが生じることがあります。
  • 抜歯後の感染リスク: 抜歯部位からの感染のリスクがゼロではありません。適切な術後管理が必要です。
  • 費用の増加: 抜歯処置自体に追加費用が発生する場合があります。
  • 空隙の閉鎖に時間がかかる: 抜歯したスペースを完全に閉鎖するまでには、ある程度の時間がかかります。この期間、一時的に歯と歯の間に隙間が見えることがあります。
  • 治療後の保定期間の重要性: 抜歯矯正は歯の移動量が大きいため、治療後の後戻りを防ぐために、保定装置を指示通りに装着することが非常に重要になります。
  1. 抜歯矯正と非抜歯矯正:どちらを選ぶべきか?

抜歯矯正と非抜歯矯正、どちらを選択すべきかは、患者様のお口の状態、骨格、そして治療への期待値を総合的に考慮して決定されます。

4.1 診断の重要性

最も重要なのは、正確な診断です。歯科医師は、以下の情報を基に、最適な治療計画を提案します。

  • 口腔内検査: 歯並びの状態、噛み合わせ、歯の健康状態などを詳細に確認します。
  • レントゲン撮影: 歯の根の状態、顎の骨の構造、埋伏歯の有無などを確認します。パノラマレントゲンやセファロレントゲン(頭部X線規格写真)が用いられます。
  • CT撮影: より詳細な骨格情報や、歯の立体的な位置関係を把握するために行われることがあります。
  • 歯型模型の採取: 歯の大きさ、形、並び方を立体的に把握します。
  • 顔写真の撮影: 正面、横顔、笑顔など、様々な角度から顔貌を記録し、口元の審美的な改善度を評価します。

これらの情報を総合的に分析し、患者様の歯の大きさと顎の骨の大きさのバランス、口元の状態、そしてどのような歯並びを目指したいか(機能性、審美性)を考慮して、抜歯の必要性の有無が判断されます。

4.2 患者様とのカウンセリング

診断結果に基づき、歯科医師は患者様に対し、抜歯矯正と非抜歯矯正それぞれの可能性、具体的な治療計画、予想される治療期間、費用、そしてそれぞれのメリット・デメリットを丁寧に説明します。

患者様は、ご自身の希望やライフスタイルを踏まえ、歯科医師と十分に話し合い、納得した上で治療法を選択することが重要です。

  • 「できるだけ歯を抜きたくない」という強い希望がある場合: 非抜歯矯正の可能性を探りますが、その場合の治療の限界や、口元の突出などのリスクについても理解しておく必要があります。
  • 「口元の突出感を解消したい」「美しい横顔になりたい」という審美的な希望が強い場合: 抜歯矯正が最適な選択肢となる可能性が高いです。
  • 「とにかく早く治療を終わらせたい」という場合: 症例にもよりますが、非抜歯矯正の方が期間が短くなる可能性はあります。ただし、理想的な結果が得られないリスクも考慮する必要があります。

どの治療法を選択するにしても、最終的なゴールを明確にし、それに向かって協力していく姿勢が成功の鍵となります。

  1. 抜歯矯正・非抜歯矯正以外の選択肢と補足情報

矯正治療には、抜歯矯正と非抜歯矯正の他にも、いくつかの選択肢や考慮すべき点があります。

5.1 親知らず(智歯)の抜歯について

矯正治療の際に抜歯の対象となるのは、一般的に前から数えて4番目の小臼歯であることが多いですが、親知らず(第三大臼歯)の抜歯は、矯正治療とは別に推奨されることがあります。

  • 親知らずが歯並びに影響を与える場合: 親知らずが横向きに生えていたり、前方の歯を押す形で生えている場合、歯並びを悪化させる原因となることがあります。この場合、矯正治療の前に親知らずの抜歯が推奨されることがあります。
  • 矯正治療のためのスペース確保: 親知らずを抜歯することで、わずかではありますが、前方の歯を動かすスペースを確保できることがあります。
  • 口腔衛生の改善: 親知らずは一番奥に位置するため、歯ブラシが届きにくく、虫歯や歯周病のリスクが高い歯です。抜歯することで、口腔衛生を改善し、将来的なトラブルを予防できます。

親知らずの抜歯は、矯正治療の計画とは独立して判断されることも多いですが、矯正治療の全体像の中で検討されるべき重要な要素です。

5.2 マウスピース矯正(インビザラインなど)の場合

近年、透明なマウスピース型の装置を用いた矯正治療(インビザラインなど)が人気を集めています。マウスピース矯正も、抜歯矯正と非抜歯矯正の両方のケースに対応可能です。

  • 非抜歯矯正の場合: 軽度から中程度の叢生や、IPRや奥歯の後方移動で対応できるケースで非抜歯のマウスピース矯正が選択されることがあります。
  • 抜歯矯正の場合: マウスピース矯正でも抜歯矯正を行うことは可能です。抜歯によってできたスペースをマウスピースで徐々に閉じていきます。

マウスピース矯正は、目立ちにくい、取り外し可能で衛生的といったメリットがありますが、ワイヤー矯正と同様に、症例によっては抜歯が必要となることを理解しておく必要があります。

5.3 治療後の保定期間の重要性

抜歯矯正、非抜歯矯正に関わらず、矯正治療で歯を動かした後は、**「保定期間」**が非常に重要です。歯は元の位置に戻ろうとする性質があるため、治療後に保定装置(リテーナー)を装着し、新しい歯並びが安定するまで維持する必要があります。

保定期間を怠ると、せっかく整えた歯並びが後戻りしてしまうリスクが高まります。歯科医師の指示に従い、正しく保定装置を使用することが、美しい歯並びを長く維持するための鍵となります。

  1. まとめ:あなたにとっての最適な選択を

抜歯矯正と非抜歯矯正は、それぞれに異なる適応症、メリット、デメリットがあります。どちらの治療法があなたにとって最適であるかは、ご自身の歯並びの状態、骨格、そして何を優先したいか(審美性、機能性、治療期間など)によって大きく異なります。

  • 「歯を抜きたくない」という思いが強い方は、まず非抜歯矯正の可能性について歯科医師と相談してみてください。しかし、非抜歯での限界や、口元の突出などのリスクについても十分に理解しておくことが大切です。
  • 「口元の突出を改善して、美しい横顔になりたい」「重度のガタつきを根本的に治したい」と考えている方は、抜歯矯正がより理想的な結果をもたらす可能性が高いでしょう。

最も重要なのは、信頼できる歯科医師による正確な診断と、患者様との十分なカウンセリングです。ご自身の疑問や不安を解消し、納得した上で治療を選択することが、成功への第一歩となります。

当院では、患者様一人ひとりのお口の状態やご希望を丁寧に伺い、最適な治療計画をご提案させていただきます。抜歯矯正と非抜歯矯正について詳しく知りたい、ご自身の歯並びについて相談したいという方は、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。

トップへ