
姫路市のよつば歯科・小児歯科院長の橋本です。
ブログをご覧いただきありがとうございます
「歯並びはキレイになったけど、歯ぐきが下がってしまった…」
そんな声を耳にしたことはありませんか?
歯列矯正は見た目の改善や咬み合わせの調整に大きなメリットがありますが、矯正治療後に歯ぐきが下がる「リセッション(歯肉退縮)」を心配される方は少なくありません。特に30〜50代でインビザラインなどのマウスピース矯正を検討されている女性からは、審美面だけでなく「歯ぐきの健康」に対する不安の声が多く寄せられます。
当院【よつば歯科・小児歯科】では、歯科矯正学の博士号を持つ院長の監修のもと、CT(3D画像診断)とiTero(口腔内スキャナー)を用いた精密診断を行い、歯並びだけでなく歯ぐきや骨の状態までしっかりとチェック。リセッションをできる限り防ぐ矯正治療に取り組んでいます。
なぜ矯正で歯ぐきが下がることがあるの?
リセッションの主な原因は以下のように考えられています。
- 歯の移動方向が不適切
骨の厚みが薄い方向(特に前歯の外側)に歯を大きく動かすと、歯を支える骨が吸収されやすくなり、その結果歯ぐきが下がるリスクが高まります。 - 歯周病の影響
歯ぐきや骨に炎症がある状態で矯正を始めると、移動に伴ってさらに組織がダメージを受けることがあります。 - 加齢による変化
30〜50代はすでに歯ぐきや骨が若い頃よりも減少傾向にあるため、矯正による負担が出やすいことがあります。
当院の「CT × iTero診断」でリセッションリスクを可視化
- CTで歯を支える骨の厚みをチェック
通常のレントゲンでは平面的な情報しか得られませんが、CTは骨の厚みや歯の根の位置関係まで立体的に把握できます。
➡ 「この方向に歯を動かすと骨がなくなるリスクがある」という情報を事前に把握し、治療計画に反映します。
- iTeroで歯並びと歯ぐきの位置を精密にスキャン
iTeroは口腔内スキャナーで、従来の型取りのような苦しさもなく、数分で高精度な3Dデータを取得できます。
➡ 現在の歯ぐきの位置を含めた「将来の歯並びシミュレーション」を見ながら、患者さんと一緒に治療方針を決めていきます。
- リセッションが疑われるケースでは追加治療も検討
もし矯正中や矯正後に歯ぐきが下がってしまった場合も、結合組織移植術などの歯周外科処置で改善できる場合があります。当院では矯正だけでなく歯周治療も行える体制を整えています。
リセッションを防ぐために患者さんができること
矯正中のセルフケアもリセッション予防には重要です。
- 毎日の正しいブラッシング(力を入れすぎない)
- 歯科衛生士による定期的なメンテナンス
- 歯周病の早期発見・治療
当院では小児から大人まで年齢に合わせたケアを提案しています。お子さんと一緒に通院されている方も多く、「家族で矯正・予防を進める」スタイルをおすすめしています。
矯正後の長期的なサポートも大切です
矯正治療は「装置を外したら終わり」ではありません。特に歯ぐきや骨の状態は年齢とともに少しずつ変化するため、矯正後も定期的にチェックを続けることが重要です。当院では矯正終了後もリテーナー(保定装置)の管理や歯周組織の健康チェックを継続し、リセッションの早期発見・予防に努めています。
また、インビザライン専用のデジタル記録を残すことで、数年後の歯ぐきや骨の状態を過去と比較しながら診断できるのも大きな利点です。見た目の美しさだけでなく、一生健康な口元で笑えるように伴走することを当院は大切にしています。
よくあるご質問
Q1:矯正をすると必ず歯ぐきは下がりますか?
➡ 必ずではありません。診断や治療計画次第でリスクは大きく下げられます。当院ではCTとiTeroを併用し、できる限りリセッションを防ぐ矯正を行っています。
Q2:もし歯ぐきが下がってしまったらどうなりますか?
➡ 軽度の場合は経過観察で十分ですが、必要に応じて歯周外科治療で改善が可能です。
Q3:インビザラインでもリセッションのリスクはありますか?
➡ ワイヤー矯正よりも優しい力で動かせるためリスクは低めですが、ゼロではありません。精密診断が大切です。
まとめ
矯正治療は「見た目をキレイにするだけ」ではありません。歯を支える骨や歯ぐきまで含めて考えることで、将来にわたって健康的で美しい笑顔を保つことができます。
- CTで骨の厚みを把握
- iTeroで歯ぐきや歯並びを3D可視化
- 歯周治療も含めたトータルサポート
矯正を検討されている方で「歯ぐきが下がるのでは?」と不安をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
Reference
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